ライフスタイルに合った水選び
04.

災害と水

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災害と水~高まる水の“備蓄”意識!

災害が起きた場合、最初に取り組むべきは、ライフラインの確保・復旧。ライフラインとは、生活に不可欠な水道、電気、ガスなどの供給システムの総称です。水道管が被害を受ければ、すぐに水のない不自由な生活に追い込まれることになります。

断水に至るまでの原因は様々なものがありますが、災害による水道施設の損壊が最も大きな影響を及ぼします。地震、噴火、ハリケーンや土砂崩れなど、深刻な災害が続く昨今、備蓄の意識もとぎれるいとまはありません。

震災後の品不足を教訓に、“水”を備蓄

調査によると、東日本大震災前に食料や水を備蓄していた人は3割にもなりませんでしたが、震災以降に「備蓄意識が高まった」との回答は約8割に達しています。

また、震災前から備蓄していた人からは「水が最も役に立った」という回答が52.6%にのぼりました。震災の直後は、生産現場の被災や物流のストップによって「買い占め」「品不足」が社会問題になったことは、私たちの記憶にはっきりと残っています。その時の教訓を無駄にすることなく、飲み水と食料品の十分な備蓄は、今後も続けていきたいものです。

次なる災害に備えて“水を備蓄”する人が
増え続けている!

現在の水の消費量/備蓄量が、東日本大震災前よりも水の備蓄と消費が増えたという人にその理由をたずねたところ、94.7%が「災害時の備え」と回答。その割合は、震災から時を経てもなお高まる傾向にあります。ライフラインとしての水の重要性が再認識されているのと同時に、次なる災害の危機感が高まっているとも言えそうです。

東日本大震災以降、家庭での備蓄に対する意識は高まったか?

出典(上下):キリンMCダノンウォーターズ(株) 「消費者の備蓄に対する意識と実態調査」2012年3月実施

震災以降、日常生活における災害の備えとして具体的に実践していることは?

出典(上下):キリンMCダノンウォーターズ(株) 「消費者の備蓄に対する意識と実態調査」2012年3月実施

東日本大震災により現在の水の消費/備蓄量が増えた理由は何か?

出典:キリンビバレッジ(株) 「震災後の水分補給とストックに対する意識調査」2013年1月実施

column水の備蓄

水問題・解決の“水”ジャーナリスト

橋本 淳司 氏(はしもと じゅんじ)

  • 水ジャーナリスト/アクア・コミュニケーター
  • アクアスフィア橋本淳司事務所代表
  • 週刊「水」ニュース・レボート発行人
  • NPO法人地域水道支援センター理事
  • NPO法人WaterAid Japan理事
  • NPO法人 日本水フォーラム節水リーダー

1日分は水分摂取用3リットル+衛生用10リットル

4年前の生々しい記憶。2011年3月11日に発生した巨大地震と大津波、福島第一原発事故は、生命線である水インフラに壊滅的な打撃を与えました。「空気と水はただ」「蛇口をひねれば安全な水が流れ出す」と考えていた私たちは、かつてない危機に直面しました。3月22日には、金町浄水場で乳児の飲料に関する当時の暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出され、乳児は水道水の摂取を控えるよう発表されました。それまでも被災地に重点的に配送されて品薄だったペットボトル水はスーパーやコンビニから姿を消しました。箱で買い占める人、購入制限をする店、空っぽになった棚を前に、「水をよこせ」「いつ水は入荷するんだ」と店員に詰め寄る人もいました。

災害時に必要なのは飲用の水と衛生を保つ水です。人間が生きていくのに必要な水分の最低摂取量は、1日2.5リットルですが、被災すると乾燥した食べものが中心になり、水分が不足しがちになります。だから3リットル程度の水が必要です。次に衛生を保つ水です。私たちは平時に1日約250リットルの水を使いますが、飲用は1%に過ぎません。残りは風呂、シャワー、洗濯、トイレなどで、煮炊きに使われるわずかな水をのぞけば、すべて衛生的な生活するために使われています。災害時には1日に水分摂取用3リットル、衛生用15リットルの水でやりくりします。支援活動が本格化するまでを3日と考えると、1人当たり飲用9リットル、衛生用45リットルの水が目安になります。

水分摂取用の水の選択肢は、水道水、ペットボトル水、宅配水

水分摂取用の水は水道水のくみおき、ペットボトル水、宅配水などの選択肢があります。宅配水とは10リットル程度入る大型容器入りの水をサーバーに備え付けたものです。平時には冷水、お湯も使用できますが、災害時に電源が失われると常温の水を利用することになります。未開封時の消費期限は3か月〜1年程度とメーカーによって差がありますが、長いものを選び、常時タンクを3つ程度備えておけば、いざというとき30リットルの水を確保することができます。水もただ保存しておくだけでは知らない間に消費期限に到達し、結果として廃棄するシーンが想定されます。昨今では、消費しながら一定量の水や食料を備蓄するという、ローリングストックという考え方も広まりつつあります。

衛生を保つ水は、水道水のくみおきと風呂の残り湯でまかないます。水道水はポリタンクなど密閉できる容器に入れて保存します。ポリタンクの容量はさまざまですが、いざというときに持ち運ぶことを考えると、20リットルのタンクを抱えて運ぶより、10リットルのタンクを両手にもったほうがバランスがとりやすく、まわりに障害物があっても運びやすいでしょう。風呂の残り湯の量は各家庭で違うでしょうが、浴槽は満杯にすると約200リットル入るので、その4分の1の50リットルくらいは残っているでしょう。風呂の残り湯を流さずためておくという習慣をもつ人が、関西地区にはたくさんいます。それは阪神大震災の経験が活かされているのです。

安全性を考えた利用を水道水、ペットボトル水、宅配水、選択肢はそれぞれですが、いずれも安全性を考えた利用法をすることが大切です。

水道水の場合、ポリタンクへの貯め方に工夫が必要です。まず、ポリタンクは口の広いものを選びます。手が入るくらい口が広いとタンク内部が洗いやすい。内部に少しでも汚れがあると水は腐敗しやすいのです。洗浄したポリタンクをよく乾かしたのち、水道水を少しずつポリタンクにゆっくりと注ぎます。勢いよく水を注ぐと空気が入り、腐敗の原因になるので注意しましょう。ポリタンクの口元まで水が溢れるようにし、空気が入れないように注意しながらキャップを閉めます。

そのとき、シールやタグに日付を書いてポリタンクに付け、暗くてなるべく涼しい場所におきます。3日を目処に水を入れ替えれば、そのまま飲むことができます。1か月を目処に入れ替える場合は、一度沸騰させてからのみます。水を入れ替えるときには、タンクに入っていた水は炊事の後片付け、掃除などに使います。タンクは内部をよく洗い、新しい水道水を入れます。

ペットボトル水の場合は、フタを開けたら1日を目安に飲みきることです。そうでないと雑菌が繁殖する恐れがあります。水道水、ペットボトル水、宅配水に大腸菌を添加したところペットボトル水が最も菌が繁殖しやすかったという実験結果もあります。宅配水の場合、日頃からサーバーを使っていること、注水口が汚れたら除菌アルコールタオルでよく拭くなど、衛生的にしておくことが大切です。日頃の備えによって、いざというときの命の水を確保しましょう。