体に良い水
05.

「熱中症対策においての効果的な水分補給方法」

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「熱中症対策においての効果的な水分補給方法」

今夏も厳しい暑さが予想されます。人が生きていくために「水」は欠かすことができませんが、その摂取量が不十分であることが主因となり、高齢者をはじめ児童・生徒らを中心に熱中症による死亡事故が後を絶ちません。総務省消防庁資料によると熱中症で救急搬送された人は、2014年の6月から9月の期間で40,048人でした。年齢層別では65歳以上の高齢者が最も多く18,468人で全体の46.1%を占め、次いで成人の15,595人(38.9%)、少年5,622人(14.0%)、乳幼児359人(0.9%)でした。

人には、食事を摂る事で常に熱が産生され、体温を保持する一方で異常な体温上昇を抑えるための、効率的な調節機能が備わっています。暑い時には、自律神経を介して抹消血管が拡張することで、皮膚に多くの血液が分布し、外気への熱伝導による体温低下を図ることができます。このように人の体内で血液の分布が変化し、汗によって体から水分や塩分(ナトリウムなど)が失われるなどの状態に対して、体液に近い必要濃度の補水をし涼しい環境に移動するなど、人の体に適切な対処を行わないと熱の産生と熱の放散とのバランスが崩れて、体温が著しく上昇します。このような状態を熱中症といい、死に至る恐れのある病態ですが、適切な予防法で対処すれば防ぐことができます。

体の中では、水分バランスが少しでも崩れるとさまざまなシグナルが発生します。「喉が乾いた」と思った時点で、水分はほぼ1%不足しているとされ、2%の不足で脱水症状を起こします。喉が渇く、尿が減る、なんとなく元気がないなどの症状が現れたら脱水症のサインです。さらに不足して、汗が出ない、体温が上がり体内の水分のおよそ15%が不足すると命にも関わってきます。人間が尿や発汗、呼吸などによって1日に排泄される水分は、2.5ℓにもなります。そこで、1日に排泄される水分と同量の水分を補給する必要があります。一般に、水の摂取量は1ℓを食事から、0.3ℓを栄養素の体内代謝により発生する代謝水として得ることができますので、残りの1.2ℓは飲料水で補給する必要があります。しかし水分は一度に大量に補給すると、ホメオスターシスの維持のために過剰分は体内に蓄えられずに排出されてしまいますし、いたずらに大量の水分を補給するのは腎臓に負担をかけ、むくみや消化不良の原因にもなりますので、不感蒸泄などの状況に合わせてこまめに水分を補給するように心がけましょう。例えば、1.2ℓの水を1回150mlずつ1日に8回に分けて飲むなどが適切でしょう。(図を参照)

さて、前述のように近年家庭で発生する高齢者の熱中症が増えており、2010年の厚生労働省人口動態統計では、高齢者死亡者のうち住宅の中での件数が45.8%を占めていることから、家庭で発生する高齢者の熱中症に対する対策の必要性が高まっています。夏期に住宅で水分補給をする際には冷蔵庫で冷やした水道水をはじめとして、近年家庭での導入が増加している宅配水の「ウォーターサーバー」の利用は、特に高齢者には令・温の温度を選ぶことができ摂水しやすい仕組みになっています。経済的な負担はおよそ1ヶ月で3500円程度になりますが、重い飲水の購入は重労働ですので、手軽に自宅に届く「ウォーターサーバー」は喜ばれています。一口に「ウォーターサーバー」といっても「いろいろありすぎて、何が良いのかわからない」「ウォーターサーバーのお水ってどういう内容の水なのでしょう?」との質問も多くなっています。ウォーターサーバーに使用されている水は様々ですが、今注目されているボトルウォーターと呼ばれているRO水はRO膜(逆浸透膜)を使い、限りなく純水に近い水にした後、ミネラルをバランスよく添加した水「RO水+ミネラル」となっています。今後更に工夫が加えられ、人体に適したより良い水に改良されていくものと思われますので注目しましょう。現在サーバーにセットする水はご自分に適したものを選び、適量の飲水を心がけて夏を楽しく乗り切ってください。

井上 正子

医学博士・管理栄養士

井上 正子(いのうえ まさこ)

 
  • 日本医療栄養センター所長
  • 元順天堂大学医学部 講師
  • 元北里大学保健衛生専門学院教授